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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『晴子の応援団長』

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1962年に作られた鰐淵晴子主演の青春映画。「なんとかの 」というのは、戦前には高峰秀子にあり、戦後は美空ひばりと山口百恵で、その意味で「晴子の」と付いているのは、当時いかに松竹で青春スターとして彼女が人気だったかを物語るものだろう。
高峰秀子には、『秀子の応援団長』があり、これは千田是也監督が率いる弱小プロ野球球団を応援するものだったが、ここでは学生野球、東京六大学野球のチームを応援するものになっている。


その大学は、城南大学だが、感じとしては慶応らしい。
この映画では鰐淵は二役で、鑑別所の不良少女とスポーツ用品店の娘の二役を演じ、鑑別所を脱走した少女が、鉄道自殺をしようとした娘を助け、お互いに入れ替わることになるというきわめてダサい話。
要は、元は『王子と乞食』で、 中村錦之助にもあるが、松竹新喜劇にも、このような話があったような気がする。
監督は、松竹京都撮影所の閉鎖で大船に異動してきた酒井欣也で、関西的なアクの強い笑いがある。

大学の選手で、洋品店の前の食堂の息子が山下旬二、最後は鰐淵と結ばれることが示唆されて終わり。
そこに割り込むプロ野球球団社長の令嬢が藤由紀子で、この後に松竹を離れて、大映に行き、田宮二郎と結婚することになる。
野球の映画なので、実際の試合が出てくるが、神宮球場ではなく、後楽園球場で撮影されていて、本当のプロの試合と混ぜられている。

何度か投げる投手は、巨人の堀内と言っても恒夫ではなく、堀内庄であり、最後の方で長打を撃って疾走するのは、長嶋のように見えた。
忙しくて俳優を野球ができるように練習する時間がなかったのだろうか。
もちろん、最後は二人の晴子が元の身分に戻って無事エンドマーク。

酒井欣也や市村泰一らの松竹京都からの移籍組は、一時大船で重用されたが、じきに瀬川昌治や渡辺祐介らの新東宝からの連中に駆逐されてしまう。
経営者というのは、非情なものである。
酒井は、最後は消火器の会社で働いていたとのこと。
阿佐ヶ谷ラピュタ

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