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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『僕は天使じゃないよ』

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あがた森魚が、脚本・監督・音楽もやった自主映画で、小規模に公開されたもので、初めて見た。
製作は芽瑠璃堂で、一時は渋谷、横浜等にいくつかレコード店を持っていたが、よほど儲かっていたのだろうか、今は1軒もないはずだが。

林静一のマンガが原作で、映画の冒頭にはアニメも少し出てくる。
駆け出しのアニメター・あがたの一郎と恋人の幸子の貧乏生活が一応の筋だが、ドラマがほとんどなく、見ていてかなりつらい。
感じとしては、ほぼ同時期に公開されていた東宝の『神田川』の関根恵子と草刈正雄の同棲生活のようなものだが、こちらの方がよりリアルだが、少し貧乏すぎる感じもする。

ベルウッドをはじめフォーク系のアーチストの総出演で、大瀧詠一、山本コータロー、下田逸郎など。
プロの役者も、緑魔子、桃井かおり、大林丈史、三条泰子なども出ている。
岡本喜八と泉谷しげるが海辺でアニメーターのテストをするといったお遊びが多く、次第に真面目に見ている気がなくなってくるが、そう悪い感じはしない。
大瀧詠一の『びんぼう』などが聴けるのは貴重だが、大瀧とあがた、泉谷が同じ映画に出ているのが時代であり、面白い。

意外にも映画としての撮影はきちんとしていたが、これは助監督三輪道彦の力だと思う。
この人は、この時期の羽仁進、松本俊夫、市川崑らの非大手の映画のチーフ助監督を勤めていた人なので。
多分、新東宝系の人で、テレビ映画等もやっていた人だと思う。
それにしても、1970年代って、結構貧乏な時代だったんだなと思った。

川崎市民ミュージアム

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