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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『交信ヲ傍受セヨ』

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1936年2月26日、近代史で唯一のクーデターである2・26事件がおきた。

このとき、27日に昭和天皇の命で戒厳令が敷かれ、すべての電話交信が傍受、盗聴されて、その録音盤をNHKが入手し、再生に成功した。

1979年2月『NHk特集』で放映されたもので、司会は三国一郎。

            

盤は、78回転のラッカー盤で、手回し録音機で録音されたので、回転数が外側と内側では異なり、その回転数の調整も行われた。

盗聴したのは、戒厳司令部で、陸軍の参謀がやったとのこと。

ここで一番面白いのは、クーデター本部の一つだった料亭幸楽の安藤大尉に掛けた北一輝の会話で、実に普通の貫禄のまったくない声なのだ。

「まる、まるはあるかね、金、金だよ」

「こんな奴が、日本の右翼の黒幕だったのか」と唖然とした。

もちろん、再生のためにカットした声帯もあるので、軽くなっているのかもしれないが。

もちろん、このクーデターは失敗したが、その効果は大きかった。

近衛文麿他、木戸幸一ら宮中内の「西欧びいき」の連中は、非常に恐怖したようだ。

いざとなったら、岡田首相のように、ピストルで狙われると。

だが、これが悲劇だったのは、クーデターの連中が、「天皇は、悪い欧化側近に毒されている」と誤解していたが、実は天皇が一番に大嫌いだったのは、天皇絶対主義の右翼だったのだから。

ここには、明治の大日本帝国憲法の持っていた非近代性・統帥権と近代性の立憲君主制との矛盾があった。

昨日の山田先生の講義でも、海軍の最上層部の米内光政、山本五十六らは、英米派で和平派だった。

だが、その下の海軍中堅層は、ドイツ派で、三国同盟賛成だったので、米内、山本らの幹部がいなくなると、急速に対米戦争へと傾斜していくのであり、これは普通の国民にも共通する感情だったようだ。

要は、上層は西欧派だが、その下は国粋派という途上国にある構造だったと思う。

こういう優れた番組を作っていたのだから、私はNHkを支持し、あのバカそのものの党はだ嫌いなのだ。

「吉本興業をぶぅこわせ」なら、大賛成だが。

 

 

 


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