加山雄三の回想で、父・上原謙の親戚が作ったホテルのために、多額の負債を負った件が書かれていた。
一族に成功者が出れば、そのおこぼれにあずかろうとする者が出てくるのはよくあることだ。
特に、上原謙・加山雄三と二代にわたって大スターが出れば、「なんとかして」と思うのも無理ないところだろう。
さて、その問題のホテルの、パシフィック・パーク茅ヶ崎が出てくる映画がある。
1967年の松竹、監督野村芳太郎、主演田村正和、加賀まり子の『男なら振り向くな』である。
この中で、特別出演の石坂浩二が、加賀と会うのが、パシフィックパーク茅ヶ崎なのだ。ホテルの内部の映像を初めて見たが、石坂と加賀のことについて言うお婆さんは、加山の祖母で、松竹の女優で戦前からこの頃までいた江間光括だろう。彼女は、十分な金があったのだが、映画製作の現場が好きで、長く松竹で「ガヤ」をやっていたのだそうで、なかなか面白い人だ。
映画でホテルを見てみると、結構立派にできていたのだが。
今は、完全に壊されていて、住宅群になっている。