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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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プリーティ・セート

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戸塚区に新しくできた区役所の中のホール・さくらプラザでムンバイの歌手のコンサートがあるというので行く。
インドやアフリカとの草の根交流をやっている金子延康さんたちのグループのご努力によるもので、なんとタダ。
ステージに現れた、サリーをまとったプリーティ・セートは、かなり大柄で、よく言えばジャネット・八田のような、悪く言えば武蔵丸のような体の美貌の女性。
1950年代のモノクロの映画から昨年公開されたカラー作品まで、19曲のフィルムソングを歌った。
インド歌謡は、アグネス・チャンのような高音域を野太い声で歌うもので、ギャロップ・サウンドと呼ばれる独特のリズムに載った相当にえぐい感じの音楽である。

私も1980年代は、世界中で一番LPを吹き込んだといわれる、ラター・マンゲシュカールとアシャ・ボスレ姉妹のLPをたくさん買った。
中には、クリケットのワールドカップにインドが優勝した記念のラターの野外コンサートのカセットというのもある。
ラターのライブというものは非常に珍しいものだそうで、私の貴重なコレクションの一つである。
そこには、後に首相になり暗殺されたラジブ・ガンジーの演説も入っていた。

だが、結局インド歌謡は本質的に、フィルムソングであり、プレイバックシンガーなので、どれを聞いても同じである。
ヒンディー語が分からない私には、映画抜きの主題歌を聞かされるのは苦痛なのであり、インド音楽から次第に関心がなくなった。
また、ウォーマッド横浜の企画を進めている時、インド音楽の第一人者の松岡環先生に会った。
先生曰く、「ラターやアシャ・ボスレは、録音スタジオで歌っているので、ライブをやってもただマイクの前に立って楽譜を見て歌っているだけなので、非常に面白くないでしょうね」と言われて、気落ちしたことも原因の一つである。

この日、彼女はすべてフィルムソングを歌ったが、個々については、私も見たことのない映画で、どうこうは言えないが、一応彼女自身がフィルムソングのプレイバック・シンガーであることは理解できた。
というのも、昔金子さんたちがご苦労されてインドから招へいして横浜でも公演した若いグループの連中の歌がひどくて、
その時は、
「これを見てラター・マンゲシュカールやアシャ・ボスレがいかにすごいかがよく分かった」と感想を求められたので、つい悪口を言ったことがあったからだ。
金子さん、すいません、あのころはまだ私も若かった。つい口が滑ったのです。



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