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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『花の中の娘たち』

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1953年に東宝初の国産カラー映画としてフジフィルムを使って作られた作品で、監督は山本嘉次郎。
上映前にアナウンスがあったとおりに、冒頭にスタッフ、キャストのタイトルがなく、ラストのエンドマークもない。
東京に隣接した川崎の農村の話で、小田急沿線なので、後のテレビの『岸辺のアルバム』のあたりになる。
梨作り農家の頑固おやじは小堀誠で、母親は本間文子、長女は杉葉子、二女は岡田茉莉子、長男が交通事故で死んだことからドラマが始まる。

杉葉子は、東京のホテルでメイドをやっているが、どうやら日比谷の日活ホテルのようだ。
この時期は、まだ映画製作再開の前なので、問題なく使用していたのだろう。
彼女は、幼なじみの農家の次男坊小林圭樹とも憎からず思っているが、ホテルの電気技師小泉博とも付き合っている。
そして、ホテルの客の紹介で沖縄での仕事(つまり米軍の仕事だろうが)の口が見つかり、杉葉子にも一緒に沖縄に行ってくれと言う。
だが、長男が死に、梨作りの伝統を絶やしてはならないとする小堀の思いに、杉は逆らうことができず、小泉は一人沖縄に行く。
この辺の日本の伝統か、先進のアメリカかという選択で、監督の山本嘉次郎が日本を選ばせているのは、非常に興味深い。
なぜなら、戦時中に『ハワイ・マレー沖海戦』等の戦意高揚映画を作った彼には、アメリカをよしとしないものが、戦後もあったと思えるからだ。
最後は、小林と杉が結婚してめでたしめでたし、その代わりに二女の岡田は、東京に働きに行く。
その先はどうなったかは分からないが、『岸辺のアルバム』で描かれたようなサラリーマン生活になったのだろうと思う。

この次に、同じ国産カラー映画でアニメショーンの、山本早苗監督の『白いきこりと黒いきこり』がある。
善悪の決まり切った話は、いかにも昔のものだが、繊細な動きは良い。後に山本は、東映動画の基礎を作る。音楽が斎藤高順で、小津安二郎的雰囲気になる。
フィルムセンター

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