横浜ミストリーで、横浜の公衆浴場、銭湯が特集されていた。
今も結構ある。
特に、神奈川、鶴見、南、磯子等に多く、要は工場地帯にあるのだ。
工場で、働いた後、銭湯で汗を流すのは当然のことだった。
昔、1950年代、そうした若者は、仕事が終わるとまず銭湯に行き、その後町の食堂で夕食を取った後、貸本屋で本を借りて家に帰って寝ると言うものだったようだ。
まだ、テレビもパソコンも、携帯もなかった時代の話である。
さて、私は、公衆浴場を管理する保健所の課長になったことがある。
驚いたのは、そこで浴場についての「行政実例」が膨大にあることだった。
行政実例とは、法律や規則等では解釈できない事例を、国にお伺いを立てて聴くことである。
地方公共団体での行政を行う者にとって重要なことである。
これが、浴場について異常にあるのだ。
ただし、町の公衆浴場ではなく、工場や事務所にある浴場についてなのだ。
今ではどうか分からないが、昔工場や事務所にも浴場があったのである。
製鉄所、鉄工所、化学工場、さらに鉄道やバスの車庫には浴場があったのだ。
そりゃそうでしょう、熱で暑く汗をかいた後、浴場できれいになるのは当然のことだった。
そうした工場や事務所など、外部の者が入れない場所でも、実は厚生省は、公衆浴場法に基づく運営を求めていたのだ。
それが、膨大な行政実例となっていた。
現在のように、ワンルームマンションでも風呂場やシャワーが付いている時代とは違うのである。