8月15日は、どう考えても敗戦記念日だが、終戦記念日になっている。
だが、世の中には、この敗戦を認めたくない人もいる。
以前、『主戦場』という映画で、私は次のように書いた。
ケント・ギルバート、桜井よし子ら出演者が、「学術研究用で公開しないとの約束で取材に応じたのに、公開したのは不当」と訴えている作品。行くと満員。「従軍慰安婦」問題について、否定する者の言説が大きくとりあげられているので描き方は非常に公平だと思う。日本人のみならず、アメリカの「テキサスオヤジ」とそのマネージャーの藤木も。慰安婦肯定側も、吉見良明や渡辺、中野晃一らも。また、韓国の当事者や支援グループも。私は、この問題については、秦郁彦先生の説に同意する。秦先生によれば、従軍慰安婦数は、5,3,2、1で、半分は日本人、ついで5が朝鮮人、中国、その他外国人となるそうだ。従軍慰安婦の強制連行について、河野談話から安倍首相の否認が紹介されるが、「公文書」がなかったとして、強制連行を否定するのは間違いだろう。敗戦後、日本は行政も軍も大量に関係資料を焼却したからである。映画界でも、東宝は「真珠湾攻撃用のマニュアル映画」などの戦争協力映画を50本以上作っていたが、全部焼いてしまった。それは徹底的で、フィルムは勿論、シナリオからスチール写真まで焼いたので、関係資料はほとんどない。また、民間業者に慰安婦の駆り出しをやらせたと思えるが、これも公文書ではなく、業者への口約束等の結果としての「忖度」で行われたと思えるので、証拠がないのは当然である。中で、傑作なのは、藤木の肯定論者への悪口で、「彼らはブスでもてないから、こういう行為をするのだ」で、まさに女性蔑視とひどい差別意識である。自民党議員の杉田水脈は、どうみても変な顔だし、桜井女史も美人と言えるだろうか。しかし、一番驚くのは、最後に出てくる加瀬英明で、いきなり「戦争に勝ったからだ・・・」と宣う。これは明治の日清・日露戦争ではなく、太平洋戦争のことなのだから非常に驚く。彼の父・加瀬俊一氏も同席した、1945年9月のミズリー号上での降伏文書調印はどうなっているのだろうか。いろいろと理屈はあるだろうが、要は戦争で負けたことと、近年中国や韓国が国として興隆して来たことを認めたくないのだろうと思う。韓国は、出来の悪い少年で、可愛いもので今は暴れているが、その内中国が分裂したら、日本を頼ってくるのだとのことだ。まさに、戦前の「暴支膺懲」で、できの悪い連中を正義の日本が矯正してあげると言うのである。
いずれにせよ、負けを認めたくないのだろう。こんなことでは、次の勝ちも望めないと思うのだが。
まったく、困ったものである。