佐藤忠男さんとは、3年前の小津安二郎ネットワークでもお会いしたことがある。
その時、小津の『生まれてはみたけれど』の評価は、一般に高かったが、一人だけ評価しない人がいたと言っていた。
それは、双葉十三郎さんで、
「サラリーマンの世界はあんなもんじゃないよ」と言っていたそうだ。
双葉さんは、サラリーマン生活を送ったこともあるからだろうと言っていた。
たしかに、あの『生まれてはみたけれど』のサラリーマンの卑屈さは、小津がいた松竹のことかもしれない。
松竹は、大谷と白井の同族会社で、ああいう卑屈なこともあったのかもしれないと思う。