『忠臣蔵』は数多いが、これは二つでユニークである。
一つは、各場面での行為を金額に換算していること。
もう一つは、赤穂方の人間の台詞は、関西弁というか、赤穂地方の言葉にしていること。
この赤穂事件で、一番悪いのは、言うまでもなく浅野内匠守で、吉良に賄賂を送らなかったのは、異常と言うしかない。
当時は、朝廷の勅使を迎える儀式など、特別な作法を教えてもらうときは、それに応じた金品を送るのは習慣だったのだから。
吉良家は、こうした金品で生きていたのだから、ひどい。
武士道云々は、無関係である。
大石内蔵助の堤真一は、かなり適当な男で、その場その場で対応していて、彼は討ち入りは考えていなくて、浅野家再興のみを願い運動している。
これが、すべて賄賂、金なのだ。
だが、浅野家再興が駄目と解ると、大石は、討ち入りを選ぶ。
ここからは、普通の運びになるが、討ち入りの説明をする妻夫木聡の美しさが光る。
また、京の橦木町で遊興する大石の堤は、本気で遊んでいるように見える。
瑶泉院の石原さとみがひどいバカ女で、これも笑える。当時の高貴な女は、そんなものだと思うが。
この撞木町は、京都ではなく近江八幡で、ここの堀は貴重で、時代劇はここでないと絵にならない。
一つだけ文句を言えば、恐らくは手持ちカメラで、絶えず画面が動いているのは、私の趣味ではない。
すべてを金に換算してしまう「なんぼのもんじゃい」映画で、実に関西的である。
原作の山本博文氏も、岡山とのことで、関西的発想だと思う。
チャンネルNECO