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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『狼をさがして』

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これについては、書くのをためらわせるものがあるが、横浜シネマリンに意外にも多くの人が入っていたように興味のある人が多いらしいので、書く。狼と言って、すぐに分るのは、70代以上の人だろう。1970年代初頭、三菱重工ビル爆破事件などの爆弾テロ事件を起こした、東アジア反日武装戦線のことである。この事件が起き、詳細が報じられた時、私は、次の三つで違和を持った。
1 権力だけではなく、一般市民も巻き込んだテロ事件だったこと。2 書物によるもの以外、自分たちの上の世代の影響や指導をほとんど受け  ず、自分たちだけで行為を決めていたこと。3 多くの人を得ての、運動としての政治活動ではなく、個人の行為のテロを  選択していたこと。
日本の政治活動では、左右を問わず集団主義というか、大衆運動を目指すもので、こうしたアナーキスト的な個人活動はほとんどない。右翼でも、朝日新聞社尼崎支局襲撃の赤報隊のような個人的と考える活動は珍しい。こうした集団主義は、やはり日本人の農耕民族としての集団主義から来ているのだろうか。狼は、実際に行われた事件の他、昭和天皇の列車爆破事件も計画していたようだが、ここでは描かれない。主になるのは、刑期を満了して出てきた、荒井まり子と支持者たちのことである。
           そこにあるのは、「いずこも同じ高齢者の群れ」と言うほかない。この間の40年間はどうだったのか、というしかない。横浜シネマリン

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