テレビ朝日55周年番組の木村拓哉主演の『宮本武蔵』を見るが、これは今まで作られたどれよりもすごい作品である。
そのでたらめさ加減が。
武蔵や小次郎、吉岡一門の剣術使いは、まるでおもちゃのように刀を縦横に振り回す。
日本刀の重さって江戸時代はよほど軽かったのだろうか、今でも日本刀は大変重くて、普通の人間は振りまわすなどできないものである。
昨日放映のの第二夜も見たが、武蔵と小次郎が異常に強くて、とうてい人間技ではない。
吉岡一門との戦いの後、田舎に行った武藏近隣の村に、『七人の侍』のように農村を山賊が襲って来て、そこに何故か佐々木小次郎も農民側に加勢して、二人の大立ち回りになる。
これは吉川英治の原作について、三田村鳶魚から「まるでアクション映画みたいだ」と言われたところだが、もし三田村先生が見たら、即悶絶してしむかもしれない。
途中で、二人が互いの刀を投げて取り替えるショットがあったが、驚くべき技である。
戦国時代ではなく、江戸時代に野武士がいただろうかという疑問はさておき、これは結局、テレビ朝日と東映のお家芸の「仮面ライダー」なのだと思う。
この局のコンテンツは、「ライダーもの」しかないということなのだろうか。
唯一の収穫は、お通役の真木洋子が、まともに台詞がしゃべれないことがはっきりと分かったことだろう。
少し複雑な言い回しになると口が回らず、台詞がめちゃくちゃになってしまう。
いまどきの高校演劇でもこんなにひどくないのではないかと思ったほどである。