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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『背徳のメス』

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1961年の松竹映画で、京都撮影所作品だが、監督は野村芳太郎、撮影も川又昂が大船から行っている。この頃、京都は大船から見れば、一段したのように思われていたので、大作は大船から行って作ることがあった。
主人公は、大阪の阿倍野の病院(教会の下にあるようだ)の医師田村高広。冒頭は安ホテルでの田村と瞳麗子ベッドシーンで、瞳は売春婦かと思うと、病院の看護婦。田村は、ニヒルな男で、瞳の他、あらゆる女に手を出していて、薬剤師の高千穂ひづるも、当直の夜に、部屋の窓の鍵を開けておいて忍び込み、ものにしてしまう。田村の上司の部長の山村聡は、ある日、売春婦の手術をするが、手術ミスで死なせてしまう。彼女のヒモの城所英夫は、「医療ミスだ!」と山村を脅し、田村も山村の判断ミスと考えていて、医師の二人は対立している。
そんな時、田村が当直の夜、水差しに睡眠薬を入れられ、ガスの栓が外されていて、死にそうになる。ここからの犯人捜しは、まるで「火曜サスペンス劇場」みたいだが、ある看護婦と職員の結婚祝いの席、山村がワインで乾杯すると、毒で死んでしまい、それを注いだ看護婦長の久我美子も死んでしまう。すべては、オールドミスとバカにされていた久我の仕業だった。
謎解きは、まさしく「火曜サスペンス劇場」なみだが、ここで興味深いのは、山村が田村のことを「医専出の医者」と軽蔑していることだ。国立大の医学部は、もともとは旧帝大にしかなかったが、戦争の進行で軍医が不足したので、医学専門学校を作ったのだ。わが横浜市立大学医学部も、元はこのときに作られた専門学校が始まりである。
       看護婦に松井康子がいた。松井は、松竹を辞めてピンク映画界に行き、多数の作品に出て「ピンクの女王」と言われた女優である。衛星劇場


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