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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『刑事物語・兄弟の掟』

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前から見たいと思っていた作品、1971年東宝で公開された稲垣俊脚本・監督作品。
冒頭に、根岸線から横浜の平和球場が見え、たぶん石川町駅の階段を降りる田中邦衛は、元町と関内のレストランで久保の加山雄三を探すが不明。
翌日、警視庁刑事課で課長中谷一郎に食ってかかると、その久保の加山が謝りに来ている。
二人は、警視庁の屋上で話す。「昨日は、関係者と会っていたので、自分は名乗れなかった」と。
外人女が殺されたこと、その捜査を手伝ってほしいいこと。屋上は本物で、旧警視庁の入口には大きなロビーがあったことも分かる。
要は、外事課のエリート加山とたたき上げの刑事の田中邦衛。
田中の父も警官だったらしく仏壇の上に写真がある。田中の妻は市原悦子、母は村瀬幸子、大学生の弟は栗原千里で、栗原小巻の弟のようだ。
彼は、あまり真面目な学生ではなく、友人らとゴーゴークラブに出入りしている状態。
趣味は絵で、当時流行のサイケ調のデザインが好みのようだ。

ある時、レストランで喧嘩になり、女性オーナーに事情聴取された時、彼は高価なライターでタバコに火をつける。
オーナーの野際陽子は、驚く、それは昔付き合っていた田中邦衛と別れるとき彼にプレゼントしたものだからだ。
そして、野際は、栗原を自分のマンションに連れてゆき、セックスになる。
これでは、兄弟の掟ではなく、「兄弟丼」である。母娘丼は、松竹映画に多いが、兄弟丼はきわめて珍しいと思う。

栗原の友人には、反戦組織に関わる者もいるらしく、逆に野際のパトロンでアメリカのエージェントらしいのマイク・ダニーンと中村敦夫は、若者らを通じてLSD等を流して罪を犯させようとしている。
栗原は、金を儲けようと岩国に行きLSDを得ようとする。また、野際は、ダニーンらの手で浴槽で殺される。
最後、栗原は、この密輸殺人事件に巻き込まれそうになるが、田中と中谷、そして加山の力で、事件はすべて中村とダニーンのものとして決着させられる。
栗原は、デザインの勉強のためにカナダに行くこと決意して終わり。
編集は松竹の浦岡敬一なので、アクションらしいテンポには欠ける。
逢沢譲のカメラと佐藤允彦の音楽は非常に良いと思う。

日本映画専門チャンネル


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