『柿の木のある家』は、桑野みゆきが出た初期の作品で有名なので見に行くと主人公ではないのに驚く。
話は壺井栄の原作で、瀬戸内の小島、小豆島ではなく西の今治近くの島のようだ。
漁師の小杉義男と村瀬幸子との家には7人の子供がいて、真ん中の久恵(中村のり子)を東京の村瀬の兄の上原兼が養子に入っている家に上げることになる。
長女の桑野は、やはり東京の呉服屋に女中で行くことになっている。
この家の祖父は高堂国典で、島一番の柿の木を育てている。
桑野は、当時12歳だったが、大人びていて小学6年に見えなかったので、主人公にできなかったんだと思う。
東京の上原兼は、高峰三枝子と結婚しているが子はなく、また上流の不愉快な主婦を演じている。当時、ザーマス婆と言ったものだ。
まじめで素直な久恵は、東京の生活になじもうと努力するが、上原家の周囲には不幸な出来事が起きて、ついに上原は、久恵を島に返すことにする。
この辺の上原と高峰は、都会の人間の自分勝手さを出していて、笑える。
最後、高峰が妊娠していることが分かり、「自分のように一人っ子にしない方が良い」と久恵を島に夫妻が迎えに行くことでエンド。
『花荻先生と三太』は、ラジオの「三太物語」の映画化で、3本目とのこと。横浜の水源である道志村で、若い花荻先生(津村悠子)が赴任してくると、三太をはじめ腕白連中と仲良くなる。
この辺の描き方は、清水宏的で、私は面白くなかった。
だが、相模湖祭りあたりから、さすが鈴木英夫監督、劇は盛り上がってくるが、そこに書留が来て、花荻が音楽学校の先生として採用される通知が来る。
生徒との別れがあり、バスで花荻は去っていくが、どこまでも追いかけてくる生徒の姿を見て、花荻は村に戻る。
後に、花荻の津村悠子は、若尾文子と共に『十代の性典』で、「セイテン女優」となる。
阿佐ヶ谷ラピュタ