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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『新宿アウトロー・ぶっ飛ばせ』

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1970年なので、ダイニチ映配の配給、日活製作。
北関東の刑務所から渡哲也が出て来てタクシーに乗り、新宿に行く。西口に着くと6000円で、「横浜に行ってくれ」と言って、山下埠頭入口に着くと8500円。
新宿から横浜まで、当時は2500円だったのかと驚く。
原田芳雄が、金に不足の渡に代わって払い、飲みに行く。
1軒目は不明だが、2軒目は、伊勢佐木町にあった根岸屋であり、ここの実景が撮影されているのは大変に珍しい。
黒澤明の『天国と地獄』で、山崎努が麻薬を受取るのが酒場があるが、この根岸屋がモデルなのは有名。
その他、あそこに出てくる伊勢佐木町は、全部東宝の撮影所に作られたセットであり、実景と勘違いしている人も多いほど、立派なセットである。

原田は、新宿に渡を連れてきて、スナックをやらせている女・梶芽衣子の弟が、LSDの取引の時に行方不明となったので、探すのを頼む。もともと、渡と梶は恋人同士だったのだ。
取引した相手は、沖雅也をリーダーとする新宿西口で活動する暴走族で、根城は路面電車の車庫で、ここはどこだろうか。
沖雅也らと対決している中で、横取りした連中はヤクザの今井健二で、用心棒は元刑事の成田三樹夫。
今井は東映だが、この時期はもう5社協定も弱くなっていたので、他社の作品にも多くの俳優が出るようになっていた。
新宿の情景が出てくるが、新宿日活では『戦争と人間』が公開されているので、1970年8月の撮影である。

話は結構混入っているが、監督の藤田敏八らしく、軽くできていて、特にスキャット風コーラスが流れるので、展開は軽快。
私は、藤田敏八・イコール・サミュエル・ベケット説で、とりとめなく話が進むが、『ゴドーを待ちながら』のごとく突然破局が来る。

最後は、今井らの入っている「友愛ビル」に渡と原田が突入し、手下のヤクザを殺し、「今井と成田は」と思うとヘリコプターの爆音。
ビルの屋上に上がると、今井はヘリに乗り、下にいた成田と銃撃戦になり、渡たちは今井と成田を射殺し、ヘリに乗り込む。
操縦士は地井武男で、彼は今井に射殺されて操縦不能になるが、原田はなんとか新宿から郊外に飛行し、沖雅也らに金袋を落としてあげる。
渡りは原田に聞く、
「どこに行くんだ」
「俺は下り方を知らないんだ」
ヘリが飛んで行くところでエンド。
国立映画アーカイブ 小ホール


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