Quantcast
Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3529

『犬死にせしもの』

$
0
0
西村望原作の小説の映画化で、戦後の瀬戸内海で、海賊行為をして廻る佐藤浩市と真田広之、そして安田成美の話で、どこか『冒険者』的でもある。
海賊仲間に平田満がいて、常に褌をひらひらさせているのがおかしい。
監督は井筒和幸、脚本は西岡琢磨だが、展開がのろい。途中で、当時の闇市の情景があり、ここは活気がある。さすが大映京都撮影所である。
そこに映画館をやりながら、ヤクザ的立場の男がいて西村晃だが、これは「四国の大将」と言われた坪内寿夫さんのことなのだろうか。
後に世界の造船王と言われた坪内さんだが、最初は映画館経営で、全国で初めて二本立て興行をやって儲かった方なのだ。
最後は、大阪のヤクザの親分の手下たちの襲撃で、全員死んでしまう。まさに犬死なのだ。
             
            

この製作を担当した宮坂さんのお話を聞いたことがある。
製作は進行したが、配給先が決まらず、最後松竹になったが、1本では駄目とのことで、急遽もう1本岡本喜八監督で『ジャズ大名』を作る。
どちらも宣伝に時間がなく、公開したが、当たらず2週間で打ち切りになったとのこと。
再建された大映も、これや最後は異常につまらない黒澤明の『まあだだよ』を作った倒産することになる。

Viewing all articles
Browse latest Browse all 3529

Trending Articles