昨日に続き、山田洋次監督作品。見るのは初めてで、瀬戸内海の小島で木造船で石を運搬する井川比佐志と倍賞千恵子夫婦の話で、父親は笠智衆。
木造船による石の運搬は、福山の日本鋼管の埋立などでは繁盛したらしいが、トラック輸送と鋼鉄船の普及で廃業に追い込まれている。
劇中に俳優ではない男たちの集まりの様子が挿入されているが、転廃業等への会議なのだろうが、この地方の言葉なので、ほとんど何を言っているか分からない。
エンジンが故障し、木造の船体の改修を工場主に相談すると「最低でも100万円」とのことで、到底不可能。
井川は、以前から声を掛けられていた尾道の造船所を見学に行き、船を運営することを諦める。
そして、井川と倍賞、さらに二人の子供は島を出ることになり、笠智衆は一人島に残る。
海産物等を小型トラックで売りに廻る商店の親父が渥美清で、これまた上手い。
これも、脚本は宮崎晃と共同で、おそらく宮崎が現地を取材して、元の脚本を書き、山田が仕上げたのだと思う。
故郷とは実に皮肉で、中国東北部(旧満州)生まれで、故郷喪失者の山田洋次にとっては、
「この島のように、本当に良い故郷を捨てて都会等に移動するのか、俺は故郷に行くこともできないに」という思いのような気がする。
『男はつらいよ』で、謳歌したのは一種の「故郷賛美」なのだから。
NHKBS