日本映画専門チャンネルのテレビ映画特集、たぶんテレ朝の「土曜ワイド劇場」だろう。
原作小池真理子、脚本鴨井達比古、監督永野靖忠、主演は酒井和歌子と山内明、田村亮と山口果林。
山梨の清里のホテルに会社社長の山内と若い妻の酒井和歌子がベンツで来る。
ディナーの席で、酒井は驚く、そのすぐ近くに元恋人の田村亮がいたからだ。彼には山口果林と一緒だった。
互いにすぐに分かり、豪雪に閉じ込められたホテルの深夜、二人は田村の車の中で会う。
食い違う二人の過去。
酒井は、田村の父親北原義雄の秘書をやっていた時、その父親と息子の田村の双方とできてしまい、北原は自殺し、会社は倒産したのだった。
それを初めて知った酒井、彼女は二人の板挟みから逃げて姿を消して逃亡したからだ。
車の外に出て争ったとき、田村は倒れて草に目をつぶしてしまう。酒井は、彼を誘導して崖から突き落とす。
翌日、警察は来るが、「事故死」と判断するのは、刑事の江幡高志、彼も特異な風貌の良い俳優だった。
山内明も、戦前からの俳優で、劇団民芸にいたが映画、テレビに多数出ていて、温厚で品の良い老年の役を演じていた。
半年後、酒井和歌子が、田村亮に続き、残された山口果林も、ヨットに呼び出してガソリンを掛けて火を付けて殺してしまう。
酒井は、「自分がタンクを倒してしまった時、山口が吸っていたタバコの火が付いてしまったのだ」と言う。
だが、江幡に追及され、弁護士にも依頼した調査の結果、山内はすべてを知り、酒井に自首を勧め、自分はスペインでいつまでも待っているからと成城の豪邸を出ていく。
酒井は、110を回す。
美しく品よく保っている酒井が、心の底では別のことを考えていることがよく表現されていたのは、鴨居の力だろう。
と同時に、鴨居も、酒井和歌子が殺人を犯しても、自分の人生の上昇を目指していたことを肯定しているように見えた。
日本映画専門チャンネル