昨日、行われた森友学園の前籠池理事長の証人喚問は非常に興味深いものだった。
すぐに思い出したのは、「東京裁判」での元陸軍少将の田中隆吉の証言である。
東京裁判で、元陸軍の田中隆吉に対し、主任検事のジョセフ・キーナンは尋問を行い、田中は、東條英機元首相、武藤章元軍務局長らの戦争への責任を証言したのである。
田中自身も、上海事変の謀略へ関わったことも証言した。
キーナンによれば、これはFBI方式と言い、ギャングの中に協力者を得て真実を話させるものだった。
安倍晋三と自民党にとっては、喚問で籠池を黙らせようとした戦略は完全に狂ってしまったようだ。
籠池は言った、国有地について、定借から売却に変わり、土地代も安価になったなったとき、
「神風が吹いたな・・・」と発言した。
戦時中の大映作品に映画『かくて神風は吹く』があり、これは鎌倉時代の蒙古の元寇の時、北条氏から、日蓮に至る日本側が祈祷して祈った結果、台風が来て元軍は退治されてしまう話だ。
これは大映京都作品だったので、当時は特撮はできず、東宝の円谷英二が参加して指揮して製作したもので、大変によくできている。
さて、今回の籠池氏と安倍首相、松井大阪府知事、稲田朋美らとの関係を見ると非常に興味深く、その行動様式を考えると大変に象徴的である。
それは簡単に言えば、政治的日和見主義である。
自民党にしても、日本維新の会についても、日本の保守の政治的行動の基本は、日和見主義であり、つねに調子の良いところに就くということである。
だから、今回の籠池氏も教育勅語の暗唱や安倍晋三万歳を叫んでいた時は大応援していたが、いったんおかしくなると簡単に切り捨て、トカゲの尻尾切りをしてしまうのである。
安倍晋三としては、金はもらっていないのだから(籠池氏は金がなかったので出すどころではなかった)、贈収賄には当たらず問題ないとして、
「もし自分や夫人が国有財産払い下げに関わっていたら、首相どころか、議員も辞める」と大見えを切ってしまったのは大変な計算違いだった。
籠池氏は、大阪の変なおっさんだが、まさに「一寸の虫にも五分の魂」というべきであろう。
首相は偉い人だとしても、末端の人間の心をバカにしてはいけないよ、ということだ。