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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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地獄、極楽

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日曜日は、富山県立立山博物館に行くことにする。ここで『地獄展』をやっているというので、いずれ地獄に堕ちる身としては事前の予行演習である。

高岡駅から電車で富山駅に行くが、ここは「あいの風とやま鉄道」という3セクの鉄道で、旧北陸本線は大体こうなっているようだ。

新幹線とのバーターなのだと思うが、仕方あるまい。

富山駅の観光案内所で聞くと、富山地方鉄道で、千垣まで行き、そこからは徒歩で、平日と土曜日はバスがあるが日曜日はないという。

千垣駅で降りるとき、運転手は「バスが来ますよ」といい加減なことを言うが、曜日を間違えたのだろうか。

二人若い女性も降りたので、ここから行くのは間違えではないと思うが、約2キロ、しかも上りである。電話でタクシーを呼ぶ、40分くらいかかり4000円ですけれど、と言われるが背に腹は代えられない。

ぴったり40分後にタクシーが来て、15分で博物館に着く。

地獄の展示は、県立博物館にしては物足りなかったが、館全体の展示は非常に面白い。

立山が、ユーラシアプレートとアメリカプレートの衝突でできていて、今も年に数ミリづつ上昇しているとのこと。

いずれ富士山に追いつく日もあるのだろうか。

『今昔物語』には、

 日本國の人、罪ヲ造テ多ク立山ノ地獄ニ堕ツト云ヘリ・・・ とあるそうだが、立山には地獄の池や噴火口などがあり、また極楽も想像されていたようだ。

われわれ凡俗の者には、地獄は容易に理解できるが、極楽は難しいが、私は宇治平等院の壁画のようなものではないかと思っている。

そこでは、天女たちが楽を奏で、踊っている姿が見える。考えるとそれは、バブル時代のジュリアナのようにも見えてくる、ジュリ扇こそ振っていないが。

あのバブル時代の狂騒は、日本が唯一味わった極楽なのかもしれないとあらためて思った。

地獄を描いたのに曼荼羅絵図があり、これを諸所で絵解きする人間が立山から行き、いわゆる「絵解き」をしたのだが、これは浪花節の源流の一つである。

近世には、地獄の神の閻魔大王も次第に堕落し、「地獄の沙汰も金次第」となったのだそうだ。なんでも笑いにしてしまうのは、庶民の知恵である。

終わって戻りのタクシーが来てくれたので、交渉して破格の値段で、岩峅駅まで送ってもらう。

この駅は、木村大作監督の『劔岳・天の記』の富山駅として使われたのだそうで、写真が多数。

この映画は悪くない映画だったが、すべてのカット尻が異常に長いこと、音楽の使い方が陳腐と、晩年の黒澤明の悪いところも十分に継承した作品だった。

富山駅から高岡に戻り、城端線で福野に行き、ヘリオスのコンサートを見るが、ベネズエラのセシリア・トッドで、これは非常に良かった。

                              

 

彼女の歌も悪くはないが、バンドリンの叔父さんが最高であり、相当に上手い。

その他、ギター2本とドラム抜きのパーカッションで、簡単に言えばブラジルのインスツルメンタル音楽のショーロである。

ショーロは、ブラジルでは普通は男ばかりだったと思うが、そこは国が違うのだろう。

終了後、CDを買い、サインしてもらうとき、そのことを聞くと、そうだという。

このイベントは、フェステイバルなので、なかには大したことのないものもあるが、毎年一つくらいは、これというものがあり満足する。

フィナーレで野外で大騒ぎしているのを後にして高岡に行く。

昼過ぎは、駅のコンコースで「24時間テレビ」の呼びかけを大騒ぎでやっていたが、もう誰もいなかったのは大変に結構な事。

宿泊のホテルは、駅前再開発ビルで、半分はホテルと飲食施設だが、残りは県立高校、市図書館、市生涯学習センターなどになっている。

多分、相乗効果があり、こういう再開発は良いと思った。


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