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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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藤浦敦氏の誤り

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藤浦敦氏の『だんびら一代』は、日活の内幕が分かる非常に面白い本だが、誤謬もある。

                

 

一つは、鈴木清順の評価で、弟子を育てない自分勝手な人間だというところである。本当に鈴木清順が、自分勝手な人間だとしたら、具流八郎などの連中がなぜ集まってきたのだろうか。

第一に、弟子を育てることが、監督の役割とは思えない。

松竹は家庭的な会社だったので、島津保次郎のように多くの弟子を育てた監督もいるが、小津安二郎のように監督を育てなかったと評される人間もいる。

私は必ずしもそうではない、というのを『小津安二郎の悔恨』で書いているが。

 

また、日活がロマンポルノ時代になり、社長の根本悌二が1979年に資本金の増減資をして赤字を解消したのは嘘だと書いていることである。

藤浦氏は、金持ちの息子だが、経理には詳しくないようで、「この増減資をしても金はどこからも出てこない、出したのは藤浦氏の父親だ」と書いているが、増減資で赤字を解消したのは本当である。

この資本金を一旦減資して、その後に増資するとなぜか帳簿上の赤字はなくなり、新体制として再出発することができる。

実際にやった会社は多数あり、スカパーやスカイマークエアーなどがそうであり、またパシフィコ横浜も、岡本坦社長の時代の2006年に増減資を行って累積損失を解消した。

かつてパシフィコ横浜の資本金は168億円だったが、増減資以後の現在は75億円になっていて、累積損失はない。

もちろん、この方法には現在の株主の損になるわけであり、株主の同意と新しく出資する者が必要なのだが。

日活の場合は、ROCやフジ・パンがあり、彼らは日活へ出資したのである。

私は、パシフィコ横浜の部長の時に、累積赤字解消の方法として何回か銀行出身の課長や部長に説明され、「本当かな」といつも思ったものだが、本当なのである。


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