先日、関内に行くとTSUTAYAに「レンタルコミック、スタート」と書かれていた。
ついにここでも始まったのかと思ったが、これは実は2002年11月に雑誌『出版ニュース』に私が書いた「貸与権を整備してレンタルブックを」から起きたことなのである。
貸与権というのは、著作物を借りたときに料金を払うものだが、これは元々著作権法には存在しない概念だった。ところが1980年代に、貸レコード屋というのが始まり、全国に普及し、レコード業界は「CD等が売れなくなる」として国会に陳情し、1984年に貸レコード対策法が議員立法ででき、数年後に著作権法に新たに加えられた。
よくご存じのように、法律は後からできたものは、それまでにあった制度は規制できないので、本と雑誌については、貸与権は適用猶予になっていた。江戸時代から貸本屋はあり、全盛期には全国に2万軒もあったからである。だが、その後の経済の高度成長の中で、貸本屋は減少し、2000年代には300軒くらいになっていた。 2002年当時、図書館は「無料貸本屋だ」というバカな議論があった。その後、本の販売額は年々減り続けており、本の販売減少は、図書館によるものではなく、むしろバブル期の販売の増大こそがむしろ異常だったことが現在では明らかになっている。
私は、「有料貸本屋がないことが実は問題なので、きちんと本や雑誌にも貸与権を適用すればよいのではないか」と書いたのである。その結果、2005年に著作権法が改正され、本と雑誌にも貸与権が適用されて、有償だが自由にレンタルができるようになったのだ。
TSUTAYAでは、全店舗ではなく、徐々に開始しているようだが、主にコミックでやっているようである。
コミックやベストセラー本などは有償のレンタルで、それ以外の専門書等は公共図書館で、となればきちんとした棲み分けになると思うのである。
事態の一層の進展を期待したいと思う。