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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『金語楼の大番頭』

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1939年、東宝映画で作られた柳家金語楼主演映画、舞台は芦ノ湖に面した元箱根の老舗旅館で、その大番頭の金語楼に起きる非喜劇。
筋はひどいし、役者も大したことはないが、彼と女中頭清川虹子とのやり取りが見もので、さすがに金語楼の喋りは上手い。
彼には、別れた妻と娘があり、毎晩その写真を見ながら酒を飲んで泣き、顔をクシャクシャにするという、彼のオハコ芸を見せる。
この芸を金語楼は、実用新案の登録をしてあったそうだが、本当だろうか。

旅館なので、色んな人が来て泊まる。
成り上がりの清川玉枝一家、音楽家の上原敏と友人、デパート・ガールの週末旅行、偽絵描きの嵯峨善兵衛と本物の深見泰三。
嵯峨は、横川小観と名乗るが、明らかに横山大観のことで、本物の深見が来て嘘がばれて平謝りになるが、皮肉にも嵯峨善兵衛は、帝国美術学校、現武蔵美大の出なのである。
最後、旅館の一人息子で大学生の三木利夫が婚約者として連れて来たデパート・ガールは、実は実の娘のは若原春江だったというハッピーエンド。
歌手の上原敏は何もしないが、実際は実演で歌を歌ったのではないかと思う。
その意味では、実演のための映画だったのかもしれない。
衛星劇場

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