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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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『白い悪魔』

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映画が始まって雪の牧場を森雅之が歩いてきて、牧場に美少女の野添ひとみがいて、題名から「これは野添に森が振り回される映画だな」と分かるが、描写が抒情的で丁寧なので、最後まで見られた。
原作は『挽歌』の原田康子で、これも少女と中年男性の恋愛沙汰だったが、主演はやはり森雅之で、相手は久我美子で、『挽歌』の二番煎じとも言えるだろう。
監督は、後に小林旭の「渡り鳥シリーズ」を作る松竹大船出身の斉藤武市。

野添は、牧場主清水将夫の孫で、彼女の母は、森と恋仲だったが、森の優柔不断から他の男と結婚して野添を産んで死んだことになっている。
母の肖像画が掲げてあるが、野添ひとみそっくりなのが笑える。
その牧場は、北大生のサロンのようになっていて、森の他、大森義夫、松下達夫らが集まって(寮歌だろう)と思うが、唄を歌ったりしている。
そして、清水は急に死んでしまい、森は函館で大きな洋品店を経営しているが、野添を引き取ることになる。
ここから次第に怪しい雰囲気になる。
店にはデザイナーの渡辺美佐子がいて、彼女や野添の服のセンスが非常に良いが、デザインは森英恵のものである。
また、函館でのファッションショーも出てくるが、非常におすましした優雅なショーであり、現在のモデルが飛び出して踊り狂うものではない。
最後、東京の美大での美術の勉強もやめた野添は函館に戻ってきて、家の世話をする。
大森義夫の忠告を受けて、一度は森は渡辺美佐子に求婚し、野添は、地元の取り巻き青年の一人だった小林旭と結婚しようと、函館から本土への連絡船に乗る。
だが、「それで良いのか」と大森に聞かれ、森雅之は決意する。
連絡船に乗り込み、野添を探し、求婚して抱き合う。
ここまでに1時間半掛かった。
これが当時の性道徳意識だったのだ。

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