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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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日本は画一的な文化の国ではないようだ

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昨夜、黄金町のたけうま書房で、田口史人さんの「出張円盤レコード寄席」が行われた。
今回は、幼稚園、小学校等のレコード特集とのことだったので、もちろん校歌が嫌いな者としては、果たして面白いのかと不安だったが、非常に面白かった。
結論としては、田口さんも強調していたが、日本全国には様々な音楽教育をしていた人がいて、無数の雑多というべき音楽文化があったとのことなのだ。

終了後に少しお話ししたが、レコードの数は、SPよりも、EP,LP時代になった方がはるかに多いとのこと。
その理由は、1950年代以後になると、全国各地に委託盤を作る業者も生まれ、また全般的に経済が豊かになったので、容易にレコードが作れるようになったのではないかとのこと。
SPのウルトラ・コレクターの岡田則夫さんは、
「SPレコードの全貌をつかみたい」と言っておられるそうだが、田口さんに言わせれば、
「EP,LPの全貌を捉えることなど絶対に不可能なほど、日本全国でレコードが製作されていたた」のだそうだ。
我々が知っている歌謡曲等のレコードよりも、委託レコードの数の方が絶対に多いのだそうだ。
中でも多いのが、学校関係のレコードで、小・中・高、さらに幼稚園関係のレコードは全国で作られていて無数にあり、今は古道具屋にタダ同然で転がっているそうだ。

この夜に掛けられたレコードで一番すごかったのは、ある地方の幼稚園の卒園記念レコードだった。
そこは、毎年LP盤を出している園だそうで、中で最高は、「通りゃんせ」の年だった。
多分指揮をしているであろうピアノは、普通の旋律だが、打楽器、リコーダー等の園児は、まったく別のメロディーを奏でている。
まるで、1960年代の現代音楽、前衛音楽なのである。
そして、この曲調は、この年だけだったのだという。
恐らく、この年に指導した先生が、現代音楽が好きで、幼稚園の卒園記念レコードで実現してしまったのだろう。
その後のことは不明だが。
その他、大阪の小学校で、明らかに世界の民俗音楽に影響を受けていると思われるEPレコードなど、随分といろんなものがあり、当然それはいろんな人がいろいろなことをしているものだな、と思った。
さらに、東海地方のキリスト教系の幼稚園、日曜学校の生徒のLPも立派な合唱曲になっていた。
また、東京の名門校、学芸大附属世田谷小学校の記念レコードはすごいもので、1980年代だったので、YMOの模写で、かなりのレベルだったのはさすが。
その他、創立100年の番町小学校、湯島小学校には、それぞれに昭和天皇、今上天皇のお言葉も入っているものだった。

こうした記念レコードは、もちろん現在は廃れて、DVDに移行しているとのこと。
私も、次女がクラシック・バレーを習っていたとき、発表会の映像を購入したことがある。
当日は、父兄のビデオ撮影は禁止で、業者が撮影した映像をかなり高価で買うのである。
ただし、生徒の演技だけではいくらなんでもあんまりなので、教室の先生が、リフトの男性演者を招いていて、その方との有名プログラムの踊るシーンも入れてあり、多少は鑑賞にたえるものになっていた。
いろいろと考えているものだと感心したのであった。

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