この本は、この数年に読んだ本で一番面白かった。
朝妻一郎と言えば、1960年代以降、日本のポピュラー音楽のLPを見ると必ず解説を書いていた方で、非常に年上の方だと思い込んでいた。
だが、この本を読んで、私より5歳上の方だと分かり驚いた。
朝妻さんは、高校時代にポール・アンカが好きになり、彼の後援会の代表になる。
その時、経済観念の鋭かったポール・アンカは、自分で権利を管理する会社を作り、レコード会社も変えてしまい、日本の発売元も代わった。
そこで、日本のレコード会社に頼れなくなったことから、渋谷のヤマハの紹介で、朝妻少年は、ニッポン放送の高崎一郎氏に紹介されて、アルバイトで助手をすることになる。
そして、歌曲の権利管理会社のフジパシフィック・ミュージックの社員となり、日本のポピュラーの音楽の発展に多大な貢献をされるようになる。
大滝詠一などの、ニューミュージックのアーチストへの貢献が大きかったが、それは大滝らが、朝妻氏と同様に、アメリカのポピュラー音楽に大きな影響を受けてきた同根性があったからだろうと思う。