1966年の松竹映画だが、こういうのを見ると、西河克巳監督が言う
「メロドラマは、戦争や革命がないと成立しない」説が正しいと思う。
新幹線で、東京から京都に行く車内で、服飾デザイン会社の社員の山口崇は、自分の絵
がデザインされた帯をしている女性に会う。
これが、生田悦子で、彼女の売り出し映画である。
彼女は、京都の帯屋の娘で、ある画帳で見て気に入り、店で作らせたのだ。
話を聞いて、父親で店主の加藤嘉は、
「8万円で買い取らせてくれ」と言い、今後仕事をやってくれと山口に言う。
この頃の8万円は、今で言えば50万くらいだろうか。
山口には、同じ会社の香山美子と恋仲で、肉体関係もある。
この山口、香山、生田の三角関係だが、その上に会社のオーナーの桑野みゆき、画廊の倍賞千恵子、さらに生田の叔母に岩下志麻と、上手く女優を配置しているのは、さすが野村芳太郎監督。
だが、加藤が急死し、店の都合から、生田は京都の信用金庫の男との結婚を急がされるが、嫌で東京に来て、山口を会う。
河口湖の別荘で二人は会い、山口は完全に生田に心が傾いてしまう。
河口湖に追いかけて来た香山だが、ついに自殺してしまう。
香山には、金を借りに来る父親の藤原釜足がいて、8万円を香山から受け取って田舎に行く件がある。
溝口健二の『浪花悲歌』のリメイクの須川栄三の『ある大阪の女』でも、団令子に金をせびるのが藤原なので、ここは大いに笑えた。
この映画では、悪人はいず、すべては生田の美しさが、悲劇の元である。
山口崇が、香山を捨てるのはひどいが、それは生田の美しさ故である。
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