要があって机の中を整理していたら、高校時代の図書室の貸出記録が出てきた。都立小山台高校の卒業のときにもらったものだ。
1年は、「世界文学全集」を読んでいる。筑摩から出たもので、同時に筑摩から出た「世界ノンフィクション」を借りている。そして、『誤解する権利』を借りている。これは鶴見俊輔の映画評で、非常に面白いものだった。
田中純一郎の『日本映画発達史』も読んでいる。さらに、『溝口健二というおのこ』、津村秀夫のもので、今考えると問題もある本だが、当時は溝口が最高の監督であり、黒澤明など問題ではないと思っていた。
今でも、溝口は好きな監督である。
2年になると『現代演劇講座』を読んでいて、多分福田恆存の批評には大きな影響を受けたと思うが、同時に福田善之の『真田風雲録』を借りている。この頃、福田善之の人気は最高だった。
3年では、『大東亜戦争肯定論』を借りている。もちろん、林房雄の本には反対だが、気になって読んだのだと思う。林は言うまでもなく元左翼で、その林が戦争を肯定したので大きな話題となった。
ちなみに、林は東大法学部出身で、三島由紀夫によれば、1960年当時、「東大法学部出身の小説家は、三島と林房雄と大佛次郎しかいなかった」そうだ。
最後の11月に『ジョイス研究』というのを読んでいる。
もちろん、これらは高校の図書館から借りた分で、自分で買って読んでいたのは、吉本隆明と松本俊夫だった。