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Channel: 指田文夫の「さすらい日乗」
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恵方巻きと恵方参り

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今、コンビニに行くと恵方巻きの予約が出ている。恵方巻きなど、昔はなかった、あれはコンビニの謀略だとの説があり、私もそうだと思う。ただ、恵方という考え方はあり、昔は恵方参りをしていたのだ。その意味では、初詣の方が新しい行事なのだ。たしかに、鉄道やバス、さらに車もろくになかった昭和初期まで、普通の庶民が有名な神社仏閣に詣でることは難しかっただろう。だから、普通の庶民は、近くのその年の恵方の神社等に行ったのだ。嘘だと思うなら、永井荷風の小説『踊子』を読むが良い。
        そこには、戦前のことだが、浅草の踊子とバンドマン(楽隊家と言うべきか)が、正月に恵方参りをするところがある。ちなみに、この小説は、踊子が時代につれて男性遍歴をする話で、非常に面白い。京マチ子、淡島千景、船越英二らの出演で大映で映画化されているが、あまり辛辣でないので面白くない。年中行事といえども、双昔からあったものではなく、時代によって変遷するものなのだ。

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