1945年8月に公開された劇映画。日本が敗戦のとき、全国の映画館で上映されていたはずの作品である。東宝作品で、監督は佐伯清、主人公は、原節子、高峰秀子、山根寿子の3人である。彼女たちは、通信技師、例のトンツーのモールス信号の技師で軍で働いている。俗に、「戦後強くなったものは、女性と靴下」と言われたが、それは嘘で、実は戦時中からほとんどの男子が軍に引張られたので、多くの職場で女性が雇用され、それが戦後も続いたのだ。北に向かう輸送機が機体不良で青森の着陸する。機長は藤田進で、通信技師は田中春男。青森の飛行場の場長は志村喬で、そこには技師として原節子がいる。機内には、旧知の高峰秀子も乗っていて、彼女は千島への赴任が決まっていて、そこに行くための飛行だった。高峰の兄と原は恋仲だったが、兄は出撃して戦死している。千島とはどこのことなのだろうか、択捉島あたりの基地なのか。千島への空路の基地として、北海道があり、そこの女性通信士は山根寿子である。田中が風邪で乗り込めないので、高峰が通信技師も兼ねて乗ることになる。女性では、前例がなかったことなのだそうだが、志村も了解して、北へ向かう。ここからは、空中飛行のシーンで、東宝得意の特撮になり、山岳地帯をギリギリで飛ぶシーンになる。そして、高峰と山根の通信で、機は無事北海道(どこかよく分らないが、帯広だろうか)について終わり。
高峰がやはり非常にかわいい。この帯広のところでは、憎っくき米軍の攻撃もある。脚本は、元共産党員で、黒澤明によれば「戦時中は転向して特高のスパイだった」という山形雄作である。山形が特高のスパイだったかは、私は知らない。だが、戦後彼は再転向して左翼独立プロ運動映画の脚本を多数書くようになる。その意味では、彼は器用に時局に追従する作家だったが、反対にそれほど器用に時代に従わずに映画を作ることになったのは黒澤であり、彼はある意味で不器用な監督だったとも言えるだろう。
高峰がやはり非常にかわいい。この帯広のところでは、憎っくき米軍の攻撃もある。脚本は、元共産党員で、黒澤明によれば「戦時中は転向して特高のスパイだった」という山形雄作である。山形が特高のスパイだったかは、私は知らない。だが、戦後彼は再転向して左翼独立プロ運動映画の脚本を多数書くようになる。その意味では、彼は器用に時局に追従する作家だったが、反対にそれほど器用に時代に従わずに映画を作ることになったのは黒澤であり、彼はある意味で不器用な監督だったとも言えるだろう。