1954年に大映で作られた浪曲映画で、たぶんこれが最後の「浪曲映画」だろうと思う。
冒頭に4人の浪曲師の挨拶があり、口演で筋に入っていく。寿々木米若、梅中軒鶯道、富士月子、玉川勝太郎の4人。
話は特別なものはなく、普通の歌舞伎の忠臣蔵であるが、浅野内匠頭は黒川弥太郎、吉良上野介は瀬川路三郎、そして大石義雄はなんと新藤英太郎とやや異色の配役である。あえて言えば、大映の二線級の連中で作ったというところだろうか。
監督は、時代劇のベテランの荒井良平で全体としては無難なできである。
各シークエンスの始めに浪曲が流れ、そこから物語に行くが、非常にスムーズである。
もともと日本の大衆芸能の中で、浪曲は極めて大きな部分を占めていたので当然なのだが。
最後は、義士たちが吉良上野介を囲んで首を取って終わり、泉岳寺に行ってエンドマーク。
これを見て驚くのは、1954年とすでに日活では「太陽族映画」が出ていたにも係わらず、一方ではこうした古いタイプの映画も製作されて受けていたはずだからである。
衛星劇場