午後は阿佐ヶ谷に行って2本見る。時間があったので渋谷からバスで行くが、所々で桜が咲き始めている。
まずは1965年の『大日本チャンバラ伝』で、伊藤雄之助を座長とする旅役者一座の話、旅役者ものはサイレント時代から多いが、これはダメな方。
伊藤の妻が楠木トシエで、ミュージカルをやろうとし、歌舞伎にこだわる座長と対立している。
大村昆、茶川一郎ら花登一家の他、由利徹、若水ヤエ子ら喜劇人が多数出ているが、全く面白くない。
こんなつまらない作品をカラーで作っていたとは信じがたい。
愛し合っている和田浩治と西尾三枝子が、実は伊藤の子供の兄妹同士で結婚できないという歌舞伎の因果物のような脇筋もある。
喩一の価値は、旅役者一座の仲間として大江美智子と実演が出てくることぐらい。
『旅情』は、1959年の大映作品で、美人華道家の山本富士子の悲恋を描くものだが、なぜ新聞記者の川崎敬三と結ばれないのか、理由が不明でなんとも不満の残る映画。
ハワイに向かうパンナムの機内で、1年前に結婚を迫る川崎に対し、踏み切れずに別れ、ハワイに行ってしまった川崎のことを回想する山本富士子から始まる。
ハワイでの生け花イベントに来たのだが、ハワイを案内してくれる二世の娘が野添ひとみ。
婚約の相手というのが、なんとというか、当然にも川崎敬三なので、この3人の三角関係のドラマになる。
最後、山本は、川崎と別れて日本に飛ぶところでエンドマーク。
メロドラマは、『風と共に去りぬ』『ドクトル・ジバゴ』『君の名は』のように、戦争や革命のような個人の力ではどうにもならない背景がないと成立しないもので、平和な時代のメロドラマは非常に難しい。
北林谷栄、潮万太郎ら二世役の連中が、変な日本語をしゃべるのが笑える。
「こんなひどい映画を作っていて客をバカにしていたから、日活も大映も潰れたのだ!」と叫びたくなった。
阿佐ヶ谷ラピュタ